2012年度のゼミの内容

新歓ブログ担当の中川です。
今回は2012年度にゼミで扱ったテーマについて紹介したいと思います。

夏学期にはギルボア・シュマイドラーの「決め方の科学−事例ベース意思決定理論−」を扱いました

決め方の科学―事例ベース意思決定理論

決め方の科学―事例ベース意思決定理論

  • 作者: イツァークギルボア,デビッドシュマイドラー,Itzhak Gilboa,David Schmeidler,浅野貴央,松井彰彦,尾山大輔
  • 出版社/メーカー: 勁草書房
  • 発売日: 2005/01/01
  • メディア: 単行本
  • 購入: 1人 クリック: 34回
  • この商品を含むブログ (1件) を見る
駒場でやったミクロ経済学では、「あらゆる事態を想定して最大化問題を解く合理的な個人」、みたいな考え方が大半を占めていたと思いますが、この事例ベース意思決定理論は「過去の経験をもとに次の行動を意思決定する」という少し異なった考え方で個人を捉えます。「世の中の情報を完璧に把握しているか、あるいは断片的にしか把握していないとしても完璧な計算を行って意思決定する」というのは少し非現実的なのでは?という問いを持つ人にはぴったりなトピックだったでしょう。

冬学期にはTirolの"The theory of Industrial Organization"を扱いました。

The Theory of Industrial Organization (The MIT Press)

The Theory of Industrial Organization (The MIT Press)

こちらは夏学期のような完全な基礎理論ではなく、実経済で起こっている事を説明する応用理論でした。具体的には「垂直統合は価格をどう変化させるか?」などです。冬学期の講義である「産業組織」や「規制の経済学」とかぶるものもありました。

また、確率論的なトピックの任意参加の補講として、実解析の教科書である

Introductory Real Analysis (Dover Books on Mathematics)

Introductory Real Analysis (Dover Books on Mathematics)

を扱いました。
輪読の途中で出てくる確率的なトピックを厳密に議論しようとすると、
いきなりσ加法族をはじめ、聞きなれない単語が出てきてわけのわからないことになるので、
その理解の助けにと松井先生のご好意でゼミの時間外に講義してくださりました。